労働者を守る労災保険
労災保険、通称労災という言葉を耳にしたことがある方は多いと思いますが、実際にどういう保険なのかを詳しく知っている方はあまりいないかもしれません。給与明細を見ても、「労災保険料」なんて項目はないですし、そもそもどのように保険料を支払っているのかも、わからない方も多いかと思います。
労災保険は、文字通り仕事中に起きた事故や怪我、仕事が原因で病気になった時に、治療費や、休んだ期間の補償、障害が残った場合や死亡した時の補償などを内容としています。通勤中の通勤災害にも適用されます。
保険料は全額事業主が負担しています。労災保険の保険料は、業種によって異なります。怪我をするリスクが高い業種になると保険料が高くなり、事務職の人になると保険料は低くなるという具合に変わってきます。
業種によって保険料率という掛け率が決まっていて、事業主が従業員に支払った賃金の総額に、その保険料率をかけた金額が労災保険料となり、事業主が年に一度、計算して、労働局に申告の手続きをして保険料を納めているのです。具体的な例を出すと、小売業のA社が1年間に従業員5名にに支払った給与の総額が2000万円だったとすると、小売業の保険料率が3.5/1000ですので2000万円にその率をかけた、7万円がA社が1年間に納めなくてはいけない、全員分の労災保険料の額となるのです。
身近に徴収されている、健康保険料や雇用保険料などと比べると、労災保険料は安いです。労災保険は働く労働者を守るための保険で、正社員だけでなく、パートでもアルバイトの人でも全員が強制的に加入しなくてはいけません。健康保険や雇用保険のように一人ひとり加入の手続きをするのではなく、会社が労災保険の適用事業所となったら、そこで働く人全てが自動的に労災保険の対象となるのです。基本的に労働者を一人でも雇う会社は労災保険の加入が義務となりますので、殆どの労働者が労災保険によって守られているのです。